かなりご無沙汰してしまいました。すみません。
ぼちぼちと追加しておきます。
まず、
5月末のEALTA学会での発表(Dynamic Assessment in CLIL classrooms)のことを書いておきます。
EALTA (European Association for Language Testing and Assessment)はテスティングの学会です。CEFRの研究の関係で会員になっています。特にClassroom-based Language Assessmentに関心があり、参加しました。
EALTA 2014資料
私は、そこでCLILの評価について提案してみました。あまりまとまった発表ではなかったので批判を受けるつもりで発表しました。
CLILの評価測定という点に関しては、CLILを実践し始めるとだれでも考えだすことでしょう。つまり、科目内容と英語を統合して学び、教師はそれをどう評価したらよいのか、というような疑問は自然です。そこで、従来の評価ではない考え方が必要だと思いました。
私は、ESPを研究実践してきたので分かりますが、ある分野に特化したESPの評価測定はむずかしい問題です。ESPは、「ある特定の(明確な)目的のための英語(教育)」ということで、英語という言語能力の評価をある分野に特化したかたちで評価します。CLILよりは明確ですが、それでもそう簡単にはいきません。
でも、たぶん、それは従来の考えにとらわれるからだと思い、ふつうに英語だけで考えて評価し、あまり追求しませんでした。たとえば、私は医学生を教えているのですが、基本的に医学に特化した英語の評価はしていません。あくまで英語の評価です。医学という領域の内容に関しての評価は、教師としてあるいは評価者として追求するよりも、学習者の判断にまかせたほうがよいと考えるようになりました。理由は簡単で、私にはできないからです。
考えてみると、CLILはESPよりもっと混沌としているので、さらにむずかしいかもしれません。ESPが「特定目的のための英語」を評価するのに対して、CLILは科目内容と言語を統合した評価をするということになるからです。CLILは、科目内容の評価を外国語を通してするわけですから、かなりむずかしいということは容易に想像できます。
しかし、ヨーロッパのCLILの基本は科目ですから、実際は、科目内容の知識や技能の評価が主になっているはずです。言語はそれに不随するのです。多くの場合、言語力はCEFRの6レベルで判断する、あるいは言語テストで判断する、という程度でしょう。それでよいかどうかは別ですが、現実としてはそうです。
私自身は、あまり評価のことを深く追求してきませんでしたので、それ以上は、ここではやめておきます。しかし、私は、少し違った観点で評価を考えるようになりました。つまり、CLILはいままでの評価測定という考えよりは、未来志向の評価測定が望ましいと思っています。成績の付け方は、いままでのとおり、学習目標があり、それがどの程度達成されたかで測ればよいのですが、CLILはそれだけではあまり学習者にとって意味がないと考えるのです。
EALTAというヨーロッパの学会のClassroom-based Language Assessmentの集まりで、それに触れた発表をしてみました。標題にあるとおり、dynamic assessmentという考えをCLILに取り入れてみてはどうかと考えたのです。しかし、それほど大きな反響はなかったというのが正直な感想です。従来の評価があるときの一端を切り取った静的評価だとすれば、dynamic assessmentは動的評価です。教師と学習者、学習者と学習者など、双方向性があり、かつ、学習者と教材など、未来に向かう教育的評価アプローチです。
私の趣旨は、assessementという考えをもう一度よく考えてみたほうがよいということです。テスティングの分野の考え方とは違い、大雑把ですが、assessするということは、評価を出すことではないし、現状の知識や技能のレベルを正確に把握して、学習者に伝えるということでもない、と考えるようになりました。つまり、dialogic mediation(対話のやりとりの中で学習者の学習の仲立ちをする)という考え方でよいのではないかと思い出したのです。この点は、私自身も確固とした理論があるわけではないので、ほんの思いつきです。
具体的に言うと、「成績をつける」というよりも、「ここが弱いから、ここをもう少し勉強して、学習を考えてみたらどうか。そうすれば、ここまで行けるよ」的なassessmentでよいのではないかと考えています。従来の形成的評価、診断的評価とほぼ近いですが、それをdynamic assessmentとして利用する方法を考えました。その考えを発表では提案しました。
その発表の際に、Tony Green先生が、learning-oriented assessmentという内容を発表していました。ほぼ同じようなコンセプトですが、私のdynamic assessmentの考えはもっとあいまいな発想なので、そのような指摘が当然ありました。ただ、参加してよかったのは、意見交換することで、少し具体化できそうだと思ったことです。
これは、また別の機会に。
この8月は、AILA、JACET Summer Seminar、Think CLIL 2014とたくさんのCLIL情報があります。時間を見て投稿します。ちょっとお待ちを。
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