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CLIL SAITAMA(旧名称)

Current Practices and Future Perspectives of Content and Language Integrated Learning (CLIL) in Japan

CLILは、次第に注目を集めています。本サイトは、笹島茂がかかわるCLILの実践やつぶやきを集めたものです。参考にしてください。

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2013年1月22日火曜日

CLILについての懇談会 12月22日実施


昨年末、下記の会を行いました。簡単に報告しておきます。

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CLILについて考える懇談会

日 時:2012年12月22日(土)午後1時~5時
場 所:上智大学 図書館L-821号室
共 催:上智大学国際言語情報研究所 CLIL JAPAN
協 力:JACET 言語教師認知研究会

CLIL (Content and Language Integrated Learning) は、日本でも注目を浴びるようになった学習指導方法である。科目内容と言語を統合する学習のことで、言語指導法から見れば、バイリンガリズム、イマーション、内容重視の言語指導などとほぼ同様のアプローチと言える。CLILはヨーロッパで開発された指導法であり、現在、ヨーロッパの多くの国で実施され、成果をあげている。指導形態や内容は、状況により様々であり、理念も必ずしも一致しているわけではない。日本でも、多くの研究者や教育機関が関心を示し、「CLILとは何か?」「バイリンガル教育とはどう違うのか?」「結局、内容重視の英語教育ではないのか?」など議論が盛んになってきている。そこで、今回、CLILに類似の教育を実践している方、および、CLILに関心を示している方に集まっていただき、日本でのCLILのあり方について懇談会を開催することとした。懇談会の主旨は、CLILの現状を把握し、率直に、自由に、形式張らずに話し合い、日本でCLILをどのように実践することが適切であるかを考えることにある。懇談会の内容は、後日冊子としてまとめて公表する予定である。

司会進行 池田真(上智大学)
趣旨説明 笹島茂(埼玉医科大学)
事例発表 1 埼玉県立和光国際高校(山崎勝、藤澤さとみ)
埼玉県立川越女子高校(佐藤ひな子、鈴木誠)
事例発表 2 千葉県立長生高校(三上正弘)
福岡県立香住丘高校(永末温子、長沼君主(東京外国語大学))
事例発表 3 東海大学付属高輪台高校(関田信生)
埼玉県蓮田市立黒浜西小学校(山野有紀)
日本でのCLILのあり方についての懇談
問題提起 松本茂(立教大学)
まとめ
CLIL JAPAN 立ち上げについて
閉会
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詳細な報告は趣旨説明にあるとおり、きちんとまとめて提示する予定なので、乞うご期待とさせてください。

当日は、過剰な宣伝を避けましたが、たくさんの方が集まり、CLILに対する関心が高いと改めて思いました。たぶん多くの方がCLIL的な実践をされているのだろうと思います。ただ、「CLILとは何なのだろう?」という疑問が相変わらずあると思います。しかし、これはけっこうむずかしい課題です。参加者の期待を裏切るようで申し訳なかったのですが、私から次のように最初に提案させていただきました。

CLILを定義するのはここではやめておきましょう

CLILの定義は大きな課題であることは間違いないのですが、ここではそれをやめて、CLILをどうとらえて、どう実践しているのか、ということを、みなさんで語り合いましょう、ということです。

みなさんのご協力で次につながる懇談ができたように思います。私にとっての大きな収穫は、

CLIL的な英語授業実践は多くの教師と生徒が「おもしろい」と感じているようだ
かなり多くの教師が実践している、あるいは、実践したいと思っているようだ

ということでした。「CLILは可能性がある」と確信しました。

しかし、それとともに、CLIL実践にはたくさんの壁があることも理解しました。簡単に言えば、

現実のカリキュラムの枠組やスタッフではむずかしいのではないか?
具体的にどうすればよいのか?
私が教えたい授業はCLILなのか?
科目の知識がなければ教えられないのではないか?
英語で授業をしても生徒が分からないのではないか?
などなど

結局、元に戻って、

CLILとは何か?

となってしまうかもしれません。

しかし、ちょっと考え方を変えたらどうでしょうか?CLILという指導法をある枠組みのもとに推進することが目的ではありません。生徒により効果的な学習の機会を提供するにはどうしたらよいのか、という観点で考えればよいのではないでしょうか?それがCLILであろうがなかろうがかまいません。私の場合は、CLIL的なことを始めたら学生の反応がよかったということであり、同僚もおもしろいと考えたということです。多少の問題はありますが、実際の授業のやり方はどうかという問題はありますが、考え方を変えるとちょっと授業が変わります。

歴史的に言えば、岡倉由三郎の『英語教育』(1911)から始まる教養か実用かという議論があります。いまだに結論が出ていません。また、訳読法、オーラルメソッド、オーラルアプローチ、コミュニカティブアプローチなどなど、多くの指導法があります。日本のコミュニケーションを重視した指導法は、必ずしも欧米のアプローチとは異なります。「英語で授業をすること」と言っても、その意味は適当に解釈されます。高校の新しい教科書「コミュニケーション」も、教師の心持ちが変わらないかぎり変わらないでしょう。

CLILに関して研究する場合は別ですが、実践する場合には、それほどCLILという指導理念に限定して行う必要はないと考えています。

私は、言語教師認知(language teacher cognition)ということを研究しています。言語を教師の教えることに対する信念(ビリーフ)や知識を探求することです。その研究を通じて、日本の英語の教師にはある思い込みがある可能性があると考えだしました。それを変えるきっかけとなるのがCLILではないかと思っています。

さて、話が横に逸れました。戻りましょう。懇談会では、高校の実践報告が多く、高校ではCLILは可能性があると思いました。小学校も外国語活動の枠で行けると思いました。当日参加していただいた方から英会話学校などでも有効であると思いました。大学はもちろんのことですが、今後、CLIL的な英語教育は進むと実感しました。当日お忙しい中参加していただいた文部科学省初等中等教育局国際教育課からも前向きなコメントをいただきました。課題は、中学校でどのようにCLILを推進するかです。

松本茂先生から、「CLILはコミュニケーションという関係性に変化をもたらす可能性がある」という趣旨の提言をいただきました。私もそう思います。

さいごに、池田先生が、CLIL JAPAN を立ち上げました。上智大学を中心に大きな動きとなることを期待します。CLIL SAITAMA は細々とやります。






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