埼玉のあたりでは先週に続いてまたまた大雪です。
2月10日(月)に都立の翔陽高校というところの研究発表会に招かれて行ってきました。先週の大雪の後で準備などがたいへんだったようですが、指導主事の先生をはじめ、たいへんよいチームワークで研究された様子が理解できました。
主題は、「生徒が思考力・判断力・表現力等を育むためのタスク活動の評価の在り方」という設定されたテーマですが、単に型通りの研究ではなく実のある内容で、関係する生徒にとってはありがたいことだったと思います。
主たる課題は、CAN DOリストを授業でどのように効果的に利用するかについての工夫でした。CEFR-Jを利用し、タスク活動をどのように展開するかというものです。この流れは、CEFRのもとであるCLTの実践からすれば当然のことですが、日本の英語授業環境ではなかなかむずかしいところで、みなさん同様の悩みを抱えていると思います。
当日は、研究授業がありました。先生も生徒も大雪の影響で思い通りの進度ではなかったので、たいへんでしたが、生徒は熱心に課題に取り組んでいました。いい授業を見せてもらいました。
そこで考えたことをちょっとここでメモさせてもらいます。(いつものことですが、文章は推敲をしていませんので、誤字脱字、分かりにくいところ、誤解などがあると思いますが、ご容赦ください)
私は、10年以上CEFRを研究してきました。また、ほぼ同様にCLILについても調査してきました。CEFRとCLILは互いに直接関係していませんが、政策と現場でよくつながりを持っている実践だと考えています。その意味から、タスク活動はCLILがよいと思っています。
CLILは定義があいまいで、何でも含みます。そこが特徴です。つまり、タスク活動にCLIL的な考え方がおおいに効果があります。少し乱暴な言い方をすると、日本でよく行われている文法訳読式授業はCLIL的に展開できます。日本の英語授業で「英語で授業をすれば英語力が向上する」といのはあまりにも短絡的で、決して得策ではなく、逆に、CLILの理念を取り入れて、従来からの文法訳読的な授業形態をCLIL的に変えていくほうがうまく行くのではないかと思います。
というのは、授業の目標、授業の人数、学校環境、社会環境、教師の職能と特性などを考えると、日本語と英語のバイリンガルで、内容とことばの両方に焦点を当てた学習を展開することが、学習者にとっても教師にとっても「心地がよい」し、ニーズに合っています。タスク活動を欧米的な考え方だけで構築することは、いままでのCLTの失敗を繰り返すだけになるかもしれません。
そんなことを考えました。
高校の喫緊の課題は、やはり、大学進学率や有名校への進学であり、学力向上や部活動実績などで一人ひとりの進路実現であり、将来につながることです。英語のニーズは、基本的に受験に必要な力の育成でしょう。英語がただ話せるだけでは、先がありません。英語の先にある知識内容が重要になります。
CAN DOは、「〜ができる」ですが、「現在完了形を使って〜ができる」ではなく、「歴史や地理を理解するために、どのくらい以前に、どこで、だれが、何をして、それが今の時代にどう影響しているのかについて〜ができる」というように、内容や行動に関係するほうが分かりやすいでしょう。それは英語教師からすると、言語的に何をどう教えてよいか複雑になり、すっきりしないかもしれません。しかし、現実はそうです。
では、どうするかということになります。そのヒントがCLILにあると思います。
CEFRに関しては、私自身も二つの日本文脈化のプロジェクトにかかわりましたが、現時点ではあまり細かくレベルを分けるのは得策ではないと思っています。6レベルのような大雑把な分け方がベストのようです。細かいレベルの設定やそのレベルを測定するということは、研究者としては興味深いことですが、学習者としてはそれほど大切なことではありません。学習者としては、「英語を使って、大学で経済の勉強ができる」「英語を使って、レストランで働ける」などという具体的な尺度のほうが大切です。
その点から、CEFRとCLILはつながります。
0 件のコメント:
コメントを投稿